2012年8月
けんか
 けんかは心の栄養素

●けんかは集団ルールを学ぶチャンス
子どもがけんかをしていると、一見問題行動のように見え、ついつい止めたくなると思います。しかし昔から「子どものけんかに親は立ち入るな」と言われているように、けんかは子どもの人間的な成長に大きな効果を果たしていることが多いのですから、できるだけ親は間に入ることをがまんして、見守ってあげることが望ましいと思います。
子ども同士の遊びにけんかはつきものです。特に集団生活を経験したことがなく、仲間遊びのルールを知らない子どもにその傾向が多くみられます。子ども達は子ども達なりに、ぶつかり合いながらも自分達なりの約束ごとを見つけていきます。けんかをして痛い思いや悔しい思いをしたり、押してみたり引いてみたり、涙をこらえて我慢しながら、様々な相手の立場や苦しさ、痛みを理解できるようになり、他人を思いやる心が育っていくのです。このように、けんかは子どもにとって社会生活のルールを学ぶ大切なチャンスであり、心の育ちに欠かすことのできない栄養素のひとつなのです。
ただし、危険が伴う場合などは大人がきちんと対処する必要があります。

●けんかが起こった背景を知る
だいたいの場合、大人は「先に手を出した方が悪い」と、暴力を否定して、決めつけてしまうことが多いですが、手を出した方はその前にどうしても我慢できないことをされていたのかもしれません、けんかの背景を十分に知らずに安易に大人が介入するのは考え物です。たとえ介入したとしても公平な立場で両者を見るということは大変困難なことです。
「けんかは社会勉強のひとつ。さてさてどうやって仲直りするのかな」と、温かいまなざしで見守っていきましょう。

あけぼの保育園 園長 矢島里美

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