2011年4月
けんか
 子どものけんかは心の栄養素

●けんかを通して成長
子どもがけんかをしていると、問題行動のように感じてしまい、ついついとめたくなりますね。しかし、昔から「子どものけんかに親が立ち入るな」と言われているように、子どものけんかは人間的な成長に大きな効果を果たしていることが多く、普通のけんかの場合ならできるだけ親は出て行くことをがまんして、見守ってあげることが望ましいのです。
子ども同士の遊びにはけんかはつきものです。特に集団生活を経験したことがない子どもに、その傾向がより多くみられます。それは仲間で遊ぶルールを知らないからだと言えます。子ども達は子ども達なりにぶつかりあいながらも自分達なりの約束ごとを見つけていきます。けんかをして痛い思いや悔しい思いをしたり、時には押してみたり引いてみたり、涙をこらえて我慢したりしながら様々なルールを体で覚えていくのです。そしてそうした経験をして、はじめて相手の立場の苦しさ、痛みをも理解できるようになり、他人を思いやる心も育っていくのです。このようにけんかは子どもにとって社会生活のルールを学ぶ大切なチャンスなのです。心の育ちに欠かすことのできない栄養素のひとつなのです。

●けんかの介入は公平に
たいていの場合、大人は「先に手を出した方が悪い」と暴力を否定して決めつけてしまうことが多いですが、手を出した方はその前にどうしても我慢できないことをされていたのかもしれません。けんかの背景を十分知らずに、安易に大人が介入するのは考えものです。たとえ介入したとしても、公平な立場で両者を見るということは大変困難なことです。「けんかは社会勉強のひとつ。さてさて、どうやって仲直りするのかな」と、温かいまなざしで、見守ってあげてください。

あけぼの保育園 園長 矢島里美

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